社長メッセージ
 
代表取締役社長 福住 一彦

代表取締役社長

福住 一彦

株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2024年2月期 事業概況のご報告

当社グループは「人を創る、ともに創る」をビジョンに掲げ、学びの場、生活支援の場を通じて、豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現をめざし、教育サービス事業と介護福祉サービス事業を主要なビジネスセグメントとしております。
 経営上の目標達成度を判断するための指標としましては、連結売上高、連結営業利益の達成度を指標としております。収益性の判断指標としましては、売上高営業利益率を重視しております。これらを前提として、中期的には新規の投資と既存事業の成長を両立させながら売上高営業利益率5%を持続することを目標としております。

 教育サービス業界を取り巻く環境は、少子化による市場の縮小や教育費の抑制が続く状況下において、大学入学共通テストをはじめとする大学入試制度改革、国際的なコミュニケーション能力向上を目的とした小学校での英語必修化、文科省のGIGAスクール構想によるICT化推進等、様々な教育制度改革が進められております。また、コロナ禍を契機として、映像授業やオンライン教育など、教育のデジタル化が急速に進行し、より質の高い教育サービス、多様化するニーズに適したサービスに対する顧客の期待も高まり、経営環境は大きな変革の時期にあります。また、介護福祉サービス業界におきましては、今後も高齢者人口が増加する中、介護サービスの需要は益々高まることが見込まれる一方、人材確保と介護保険制度改正への適切な対応が重要課題となっております。

このような経営環境のもと、当社グループでは、「一生涯を通じた幅広い『学び』の機会を提供することで、ともに人間力を高め、笑顔あふれる社会を実現する」をグループの基本理念としております。学びの場、生活支援の場を通じて、より良いサービスの提供に努めることで、豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現を目指し、すべてのステークホルダーの皆さまへ貢献できるよう、継続企業(Going Concern)として永続的な発展を目指しております。

<教育サービス事業>

教育サービス業界におきましては、様々な教育制度改革が進行しており、大きな変革の時期を迎えております。このような環境下で、当社グループにおきましては、あらためて「教え込む」「鍛える」「結果を出す」という三つの要素の循環を強化し、その定着を図るという、塾の本来価値への原点回帰を徹底して実践しております。

 教務面については、大学入試改革に対応した、小学校低学年からの講座、高校生講座の拡充をはじめ、生徒の状況に応じた、きめ細かい対応に注力いたしました。高校生を対象とした大学受験について、新たなブランドとして、高校生専門の大学受験予備校「Oar(オール)」を千葉県内、南船橋駅の「ららテラスTOKYO-BAY」に開校いたしました。「Oar」では個別指導、映像授業を活用し、多様化する受験形態・受験方法に合わせた最適なカリキュラムを提供しております。

DXの活用については、顧客へのサービス向上という面において、映像授業コンテンツ「ウイングネット」でのコンテンツシステムの拡張、また、「市進プラットフォーム」をリリースすることで、日程やカリキュラムの確認、教室との連絡などの機能を一元化し、ご家庭との連携や学習サポートをさらに手厚く行える環境を整えております。また業務効率化という面においては、勤怠・給与計算システムの刷新などを実施しております。

人材の採用と育成については、市進ホールディングス内に設置したHRD(Human Resource Development)本部により研修を通じた社員教育を実施、採用面では内部リクルートの強化などに努めております。

地域展開としましては、従来の方針通り、千葉県・東京都東部地域・茨城県を中心に、神奈川県・埼玉県において拠点を展開しており、集客力をより高めるべく、各地域のニーズに応じた教育サービスの提供、地域ごとの合格実績の確立に取り組んでおります。市進学院においては、在籍生徒数増加に伴い、千葉県の印西牧の原教室を増床・リニューアル開校し、千葉県の海浜幕張教室や東京都の旗の台教室では、高校生用の学習スペースの拡充を図るなど、リニューアル開校を実施しております。また、茨城県においては引き続きつくばエクスプレス沿線のドミナント強化に努め、当期においては、つくばみらい市のみらい平校を移転リニューアル開校いたしました。個別指導塾の「個太郎塾」においても直営教室の出店を進めるとともに、フランチャイズ教室の展開にも引き続き注力し、堅調に推移しております。

コンテンツ事業をはじめとする教育関連事業では、「ウイングネット」の全国学習塾への販売において、コンテンツシステムの拡張、時代に適したタイムリーでフレキシブルな教育学習環境の提供、多様性に寄り添う個別最適化サービスなどを重点課題として取り組んでおります。さらに、マイページ機能の充実による個別最適化や、大学入試の大きな転換期となる2025年新課程入試への迅速かつフレキシブルな対応をすることで、生徒一人一人に寄り添ったコンテンツの提供を実践しております。その結果、加盟校数、拠点数は引き続き伸長し、堅調な業績を維持できております。

<介護福祉サービス事業>

介護福祉サービス事業におきましては、地域ごとに求められるサービス内容の検討、制度改正への迅速な対応、M&Aによるサービス対象地域の拡大と有資格者集団の獲得、人材の採用と育成、を主要テーマとして注力し、介護福祉サービス事業の合計売上高がグループ全体の20%となることを当面の目標としております。

当連結会計年度2023年4月よりトップケアサイエンス有限会社が当社グループに加わりました。同社は1998年の創業以来、千葉県千葉市にて有料老人ホームやサービス付高齢者専用住宅の運営、訪問介護事業などに取り組んでおります。当社グループにおける、地元千葉県での初の介護福祉サービス事業の会社です。なお、当社グループの介護福祉サービス事業は、トップケアサイエンス有限会社の加入により合計7社となり、デイサービス、グループホーム、小規模多機能事業、有料老人ホーム、訪問介護事業など多様なサービスを首都圏1都4県、計41ヶ所の拠点で展開しております。当社グループ同事業におきましては、当連結会計年度もコロナ禍の厳しい環境が続く中、引き続き良質なサービスの提供継続に努め、いずれの施設、事業においても多くのご利用者様にご活用いただき順調に稼働できております。今後も、信頼獲得を第一義とした質の高い介護サービスを心掛け、高い稼働率、入居率を継続できるよう取り組んでまいります。

今後の見通しについて

当社グループは「人を創る、ともに創る」をビジョンに掲げ、学びの場、生活支援の場を通じて、豊かな人生、笑顔あふれる社会の実現をめざし、事業を推進しております。具体的な事業運営としては、教育サービス事業と介護福祉サービス事業を主要なビジネスセグメントとしております。経営上の目標達成度を判断するための指標としましては、連結売上高、連結営業利益の達成度を指標としており、収益性の判断指標としましては、売上高営業利益率を重視しております。これらを前提として、中期的には新規の投資と既存事業の成長を両立させながら売上高営業利益率5%を持続することを目標としております。また、当社グループは①マーケティング、②イノベーション、③人材育成の3つをグループ全体の重点テーマとして設定しております。全事業会社の目標達成度合いの指標としましては、より具体的な業績評価につながる重要な指標(KPI)を設定し、これを職員間で共有しつつ日々の活動を推進しております。グループ全体の企業価値向上を図るためにも、引き続き、グループ会社間の連携を深めることにも注力してまいります。セグメントごとには、以下を課題と認識し取り組んでまいります。

教育サービス事業では、「教え込む」「鍛える」「結果を出す」という三つの要素の循環を強化し、その定着を図るという、塾の本来価値への原点回帰とともに、①小学校低学年からの集客、②高校生を対象とした大学受験での集客、③DXを活用してのサービス向上および業務効率化、④人材の採用と育成、を主要なテーマとして引き続き取り組んでまいります。

現在の好調な在籍生徒数を維持、拡大するため、地域ごとの教育サービスに対するニーズへの丁寧な対応、地域ごとの合格実績の向上に引き続き取り組んでまいります。

小学校低学年からの集客について、世界に出ても負けない子に育てることがコンセプトの小学校1年生・2年生・3年生向けの「パンセフロンティエル」を中心とし、子ども英語教室Leptonや、速読解力講座などの能力開発講座の設定、小4以降の抽象的思考や深く考察する必要のある入試問題への対応について取り組んでまいります。 高校生を対象とした大学受験での集客について、新たなブランドとして開校した高校生専門の大学受験予備校「Oar(オール)」をさらに活用し、高校生の在籍数増加と大学入試改革に対応した大学合格率、合格者数の向上を重要課題として改めて注力してまいります。

DXを活用してのサービス向上および業務効率化について、ご家庭との連携や学習サポートを手厚く実施する「市進プラットフォーム」の利便性改善に加え、新たに「講師ポータル」をリリースし、講師との教務情報の伝達や共有などを強化してまいります。

人材の採用と育成について、採用手法・ツールの見直し、内部リクルートの強化などを引き続き実施してまいります。

介護福祉サービス事業では、①地域ごとに求められるサービス内容の検討、②制度改正への迅速な対応、③M&Aによるサービス対象地域の拡大と有資格者集団の獲得、④人材の採用と育成、を主要なテーマとして引き続き取り組んでまいります。 M&Aについて、2024年3月から茨城県ひたちなか市にてデイサービスと住宅型有料老人ホームを運営する株式会社ライブコアサポートが当社グループに新たに加わりました。水戸市にてデイホーム、グループホームを運営する有限会社敬愛と連携し、介護福祉サービスを通じた地域貢献を目指してまいります。介護福祉サービス事業に携わる当社グループの会社は合計8社となります。

人材の採用と育成について、市進ホールディングス内に「グループ介護事業推進本部」を設置しました。これは、将来の当社グループ介護事業の中核となる人材をグループ内の介護事業全社に確保し育成するため、大卒者・介護専門学校卒業生・高校卒業時点で介護系への就職希望者を母集団として、採用を促進する業務に取り組んでまいります。当社グループ内介護事業の多様な事業形態と資格取得支援制度を打ち出すことを通じて、若手社員のキャリアアップの展望を開拓し、就労の魅力を作り出し、人材の採用と育成の促進を目的とします。

今後の市進教育グループの発展につきましてもご支援を頂戴したく、よろしくお願い申し上げます。

2024年5月